アップライトピアノとグランドピアノの違い|音・価格・サイズを比較
目次
「アップライトとグランドピアノ、なんとなく違うのは分かるけれど、結局自分にはどちらが合っているのか分からない」
ピアノの購入や買い替えを考えるとき、多くの方がこの疑問にぶつかります。
この記事では、アップライトピアノとグランドピアノの違いを構造・音・価格・設置スペースなどの観点から比較したうえで、最後に「結局どちらを選ぶべきか」を住環境や演奏の目的別に整理しました。読み終える頃には、違いを知るだけでなく、ご自身にとってどちらが向いているかを判断できるようになっているはずです。
すでにアップライトをお使いで、グランドピアノへの買い替えを検討されている方に向けた情報もご用意していますので、ぜひ最後までご覧ください。
【早見表】アップライトとグランドピアノの違い一覧
まずは全体像をつかんでいただくために、主な違いを一覧にまとめました。詳しい内容は、この後の各章で解説していきます。
| 項目 | アップライトピアノ | グランドピアノ |
|---|---|---|
| 音の広がり | やや音がこもりやすい | 豊かで伸びやかに響く |
| 連打性能(1秒あたり) | 約7回が目安 | 14回以上可能 |
| 中央ペダル | マフラー(弱音)ペダル | ソステヌートペダル |
| 価格帯(新品の目安) | 50万円台〜 | 140万円台〜 |
| 必要な設置スペース | 約1.5㎡が目安 | 約3㎡以上が目安 |
| 調律の頻度目安 | 半年〜1年に1回 | 半年〜1年に1回(頻繁に弾くなら4か月に1回) |
| 向いている方 | 省スペース・予算・家庭練習を重視する方 | 表現力・連打性・本番に近い練習環境を重視する方 |
※価格はあくまで目安であり、メーカーや状態によって大きく変動します。最新の相場については本文内でも改めてご案内します。
構造・アクションの違い
ピアノの音や弾き心地の違いは、鍵盤を押したときにハンマーが弦を叩く「アクション」という仕組みの違いから生まれています。
アップライトピアノのアクション構造

アップライトピアノは弦が垂直に張られており、ハンマーが横方向から弦を叩く構造になっています。ハンマーを元の位置に戻す際にはバネの力を利用するため、戻りにどうしても時間がかかり、連打できる速さは1秒間に7回程度が目安です。
また、鍵盤を押す力の向きとハンマーが動く向きが一致していないため、指先の力が伝わりにくく、タッチの微妙な違いが音に反映されにくい傾向があります。アクションの調整箇所もグランドピアノに比べて少なく、音色や鍵盤の重さの調整幅は限定的です。
グランドピアノのアクション構造

グランドピアノは弦が水平に張られ、ハンマーが下から弦を叩く構造です。鍵盤を押す力の向きとハンマーの動く向きがほぼ一致しているため、指先の力がダイレクトに伝わりやすく、タッチの変化を音に反映させやすいのが特徴です。
さらに、ハンマーは自重で元の位置に戻る仕組みのため、完全に戻りきる前でも次の打鍵が可能で、1秒間に14回以上という速さでの連打ができます。速いパッセージやトリルを多用する曲を演奏する方にとっては、この差は決して小さくありません。アクションの調整箇所も多く、繊細な整音・調整が可能です。
音の違い
構造の違いは、そのまま音の響き方の違いにもつながります。

アップライトピアノの音の特徴
アップライトピアノは響板が本体背面にあり、壁際へ設置されることが多いため、壁との距離や部屋の音響によって響き方が変わります。
ボディや響板の振動面積もグランドピアノより狭いため、強弱の幅(ダイナミックレンジ)は控えめです。
一方で、音が大きく広がりすぎない特性は、マンションなど周囲への音の配慮が必要な環境ではむしろメリットになる場合もあります。
グランドピアノの音の特徴
グランドピアノはボディ全体が共鳴体として働くため、低音から高音まで伸びやかに響き、強弱の幅も広く取れます。
演奏者自身が響板から出る音を直接耳で確認しながら弾けるため、微妙なニュアンスの違いを感じ取りやすく、表現力を磨きやすいのも特徴です。和音を弾いたときの響きも濁りにくく、クリアに聴こえます。
ダンパー(止音機構)の違い
ダンパーとは、鍵盤から指を離したときに弦の振動を止める部品です。
グランドピアノでは、ダンパーが弦の上から自重で下がり、弦の振動を止めます。一方、アップライトピアノでは弦が垂直に張られているため、スプリングなどの力を利用してダンパーを弦へ押し当てます。
この構造の違いにより、グランドピアノは速い演奏や細かなペダリングでも、音の切れ方や余韻をコントロールしやすい傾向があります。
ただし、実際の止音性能は、ダンパーの調整状態や部品の劣化によっても変わります。
ペダルの違い
中央のペダルの役割が異なる点も、アップライトとグランドの大きな違いのひとつです。また、一番左の「ソフトペダル」も仕組みが異なります。

アップライトピアノのペダル
一般的に、右がダンパーペダル、中央がマフラー(弱音)ペダル、左がソフトペダルの3本構成です。マフラーペダルは、ハンマーと弦の間にフェルトを挟み込んで音量を抑える仕組みで、夜間の練習や集合住宅での使用時に活躍します。
左のソフトペダルは、踏むとハンマーと弦の距離が縮まり、打弦のエネルギーが弱まることで音量を抑える仕組みです。弦を叩く本数自体は変わらないため、音量は下がっても音色そのものはあまり変化しません。
グランドピアノのペダル
グランドピアノも右側はダンパーペダルですが、中央と左のペダルは、一般的なアップライトピアノとは仕組みが異なります。
ソステヌートペダルは、ペダルを踏む直前に押していた鍵盤の音だけを持続させるペダルです。選んだ音を伸ばしながら、ほかの音を演奏できるため、近現代の作品をはじめ、より高度な音楽的表現を求める場面で重要な役割を果たします。本格的にピアノを学ぶ方にとっては、このペダルの有無は無視できない差です。
左のソフトペダルは「シフトペダル(ウナコルダ)」とも呼ばれ、踏むとアクション全体が横へ移動し、ハンマーが弦を打つ位置や本数が変わります。これにより、音量だけでなく音色にも変化が生まれます。
上級者はこの音色の変化も表現力として磨いていきます。
価格の違い(新品・中古)
価格面では、一般的にグランドピアノの方が高額になります。ここでは国内2大メーカーであるヤマハ・カワイの現行モデルをもとに、エントリー・スタンダード・上位の3クラスに分けて、アップライトとグランドの価格差を見ていきましょう。
※価格は2026年時点の目安です。新品は正規販売店の価格、中古は国内の中古ピアノ販売店の掲載価格を参考にしています。個体差・地域差があるため、実際に検討される際は最新の価格・在庫状況をご確認ください。
新品価格

ヤマハ
| クラス | アップライト | グランド |
|---|---|---|
| エントリー | 550,000円〜 | 2,255,000円〜 |
| スタンダード | 767,800円〜 | 2,860,000円〜 |
| 上位 | 1,210,000円〜 | 7,150,000円〜 |
カワイ
| クラス | アップライト | グランド |
|---|---|---|
| エントリー | 533,500円〜 | 2,310,000円〜 |
| スタンダード | 902,000円〜 | 2,915,000円〜 |
| 上位 | 1,320,000円〜 | 4,620,000円〜 |
ヤマハ、カワイの新品価格をさらに詳しく知りたい方は下記記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ヤマハ新品ピアノの定価価格一覧表|シリーズ別の特徴と選び方【2026年最新】
関連記事:カワイ新品ピアノの定価価格一覧表|シリーズ別の特徴と選び方【2026年最新】
中古価格

ヤマハ
| クラス | アップライト | グランド |
|---|---|---|
| エントリー | 約390,000円〜 | 約1,880,000円〜 |
| スタンダード | 約630,000円〜 | 約2,360,000円〜 |
| 上位 | 約830,000円〜 | 約5,500,000円〜 |
カワイ
| クラス | アップライト | グランド |
|---|---|---|
| エントリー | 約420,000円〜 | 約2,080,000円〜 |
| スタンダード | 約630,000円〜 | 約2,620,000円〜 |
| 上位 | 約1,030,000円〜 | 約3,890,000円〜 |
中古は新品よりおよそ1〜3割ほど安く手に入ることが多く、この傾向はアップライト・グランドで大きくは変わりません。
新品の上位アップライトに数十万円を足せば、中古のグランド・エントリークラスに手が届くこともあります。
現行モデルに限らず、生産終了した旧型まで広げると、中古グランドの選択肢は増えます。年代の古い小型グランドは100万円前後から見つかることもあり、新品の上位アップライトと近い予算で購入できる場合があります。ただし、製造年が古いほど内部部品の摩耗や整備状態に差が出るため、価格だけで判断せず、専門店で状態を確認しましょう。
新品と中古、それぞれのメリット・デメリットをじっくり比較したい方は、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:ピアノを買うなら中古と新品どっち?メリット・デメリット
参考:海外ブランドの価格帯
| ブランド | アップライト | グランド |
|---|---|---|
| スタインウェイ&サンズ | 約1,040万円〜 | 約1,700万円〜4,160万円 |
| ベーゼンドルファー | 約1,090万円〜 | 約2,260万円〜4,710万円 |
スタインウェイやベーゼンドルファーは、中古でも数百万円台からとなることが多いです。スタインウェイは近年ほぼ毎年値上がりが続いているため、実際に検討される際は正規販売店で最新価格をご確認ください。
占有スペース・設置環境の違い

アップライトピアノに必要なスペース
一般的な高さは113〜131cm程度、間口149〜153cm、奥行き53〜65cm前後です。壁からの通気や防音のため10cm程度離して設置することを考えると、必要な占有面積はおおよそ1.5㎡(畳数にして約1畳)程度です。限られた住宅スペースでも設置しやすいのが強みです。
グランドピアノに必要なスペース
グランドピアノはベビーサイズからフルコンサートサイズまで幅があり、特に奥行きに差が出ます。
サイズごとの奥行きの目安をご紹介しておきます。
- ベビー:150cm
- 1型:161cm
- 2型:173cm
- 3型:186cm
- 5型:200cm
- 6型:211cm
- セミコン:227cm
- フルコン:274cm
小型グランドピアノでも、本体だけで約2.2〜2.5㎡前後の床面積を使用します。椅子のスペースなども考慮すると、最低でも3㎡(畳数にして約2~3畳前後)以上の空間が必要です。集合住宅では搬入経路や管理規約の確認が必要になる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
調律・メンテナンスの違い
アップライトピアノもグランドピアノも、アコースティックピアノである以上、調律の頻度やメンテナンス、管理方法は基本的には同じです。
頻度の目安は半年〜1年に1回ですが、毎日長時間演奏する場合や、新品購入直後、移動後、温湿度変化が大きい環境では音程が変化しやすいため、通常より短い周期で調律が必要になることがあります。
湿度は冬季35〜65%、夏季40〜70%を目安に保ち、室温は15℃〜25℃程度を目安に管理しましょう。直射日光の当たる場所も避けてください。
ただし、構造が異なるため、料金や管理上の注意点には違いがあります。

アップライトピアノの調律・メンテナンス
アップライトの調律は1回あたり1万円〜1万5千円程度が相場ですが、調律師やピアノの状態で前後します。
また、演奏時間が長いピアノはハンマーフェルトも徐々に消耗するため、音が硬くなったり、音色にばらつきが出たりした場合は、整音やハンマーの整形が必要になることがあります。
管理方法の注意点として、アップライトピアノは壁に向かって置くことが多いですが、密接するとカビが発生し、ピアノの劣化を招きます。
そのため、必ず壁から10cm程度離して置きましょう。
また、アップライトピアノは上に楽譜などを置きがちですが、音色や響き方に影響が出ることもあるため、なるべく物は置かない方が良いでしょう。
グランドピアノの調律・メンテナンス
グランドピアノの調律料金は1万2千円~2万円が相場です。アップライトピアノよりやや高く設定される傾向があります。
また、グランドピアノはアクションの構造が複雑で調整箇所も多いため、鍵盤やハンマーの動きを整える「整調」を行う場合は、アップライトより作業時間や費用がかかることがあります。なお、整調や音色を整える「整音」は、通常の調律とは別作業になる場合があります。
設置環境については、屋根を開けて演奏する機会が多いため、直射日光による劣化を防ぐ対策(遮光カーテンの設置など)も意識しておくと安心です。
※上記の料金相場はあくまで目安です。エリアや調律師、ピアノの状態によっても変動するため、より詳しい料金相場は下記記事を参考にしてください。
関連記事:ピアノの調律料金の相場完全ガイド!シーン別の費用も
アップライトピアノとグランドピアノのメリット・デメリット
ここまでの内容を、タイプ別のメリット・デメリットとして簡潔にまとめました。

アップライトピアノ
メリット
- グランドピアノに比べて価格が手頃
- 設置スペースが小さく、限られた住宅事情でも導入しやすい
- 需要が安定しており、価格が下がりにくい
デメリット
- グランドピアノに比べて音量・強弱の幅が控えめ
- 音色やタッチの繊細な調整には限界がある
- ソステヌートペダルがなく、表現の幅がやや限られる
グランドピアノ
メリット
- 音量・響きの幅が広く、豊かな表現ができる
- タッチの繊細な変化を音に反映しやすい
- ソステヌートペダルにより表現の幅が広がる
- 受験・コンクールに近い環境で練習できる
デメリット
- 住宅環境によっては設置が難しい場合がある
- アップライトに比べて価格が高額
- 広い設置スペースが必要
結局どっちを選ぶべき?タイプ別の選び方
ここまでの違いを踏まえて、実際にどちらを選ぶべきか、具体的なシーン別に整理してみましょう。
住環境で選ぶ
マンションなどの集合住宅にお住まいの場合は、設置スペースや音の広がりの面から、アップライトピアノの方が扱いやすいケースが多いです。
一方、戸建てで防音対策も含めて検討できる環境であれば、グランドピアノも十分に選択肢に入ります。
演奏レベル・目的で選ぶ
趣味としてピアノを楽しみたい方、これから始める方であれば、アップライトピアノでも十分に演奏を楽しみ、上達していくことができます。
一方、音楽大学の受験やコンクールへの出場を視野に入れている方、あるいは趣味であっても繊細な表現やタッチの幅を追求したい方には、グランドピアノがより適しています。本番の多くはグランドピアノで行われるため、練習段階から慣れておくメリットは大きいでしょう。
予算・将来のライフイベントで選ぶ
「今はアップライトで十分だが、将来的にはグランドに憧れがある」という方も多いはずです。結婚や引っ越し、お子さまの成長といったライフイベントによって住環境が変わる可能性がある場合は、無理に最初から高額な買い物をせず、まずはアップライトから始めて、必要なタイミングで買い替えを検討するという段階的な選び方も現実的な選択肢です。

アップライトからグランドへの買い替えを考えている方へ
「今のアップライトピアノに慣れてきたので、そろそろグランドピアノに買い替えたい」という方も多くいらっしゃいます。その際に気になるのが、今お使いのピアノをどうするかという点です。
長年使ったピアノでも、状態によっては想像以上の価値がつくことがあります。買い替えを検討する際は、まず今のピアノの査定額を確認してから、グランドピアノの予算を組み立てるという順番で進めると、無理のない資金計画が立てやすくなります。
ピアノワンでは、これまで数多くのアップライトピアノ・グランドピアノの買取に携わってきました。買い替えを検討中の方は、まずは無料査定で今のピアノの価値を確認してみませんか。査定だけのご相談も歓迎しております。
まとめ
アップライトピアノとグランドピアノは、構造・音・ペダル・価格・設置スペースなど、さまざまな面で違いがあります。しかし、大切なのは「どちらが優れているか」ではなく「ご自身の住環境や目的に、どちらが合っているか」です。
- 予算やライフイベントに応じて、アップライトから始めて将来グランドへ買い替えるという段階的な選び方もある。
- 集合住宅や趣味中心なら、アップライトピアノでも十分満足できる。
- 本格的な演奏・受験・コンクールを目指すなら、グランドピアノの経験が大きな武器になる。
種類だけでなく、実際の音やタッチ、ピアノの状態も確認し、可能であれば複数のモデルを試弾して比較しましょう。
この記事を書いた人
代表取締役社長
東 和樹
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