ピアノを売る前に調律・修理・掃除は必要?費用をかけるべきか
目次
「何年も調律していないけれど、このまま売ったら安くなってしまうのでは」
「傷や不具合は、直してから出したほうがいいのだろうか」
ピアノを手放すと決めたあと、先に調律や修理を頼んだほうがいいのか、迷われる方もおられるかと思います。
結論
- 買取業者に売る場合、売る前の調律・修理・補修は基本的に必要ありません
- 費用をかけても、その分が査定額に上乗せされるとは限りません
- まずは今の状態のまま査定を受け、気になる点を正確に伝えることが大切です
今回は、ピアノ買取専門店であるピアノワンでの実際の買取事例をもとに、調律・修理・掃除それぞれをどう判断すればよいかをご紹介します。
なお、ここでお話しするのは、買取業者にアコースティックピアノを売る場合です。電子ピアノは、もともと調律の必要がない楽器のため対象外としています。フリマアプリなどで個人に売る場合や、まだ弾く予定がある場合は考え方が変わるため、後半で別に触れます。
ピアノを売る前の調律・修理・掃除は必要?状態別にすることを確認
調律・修理・補修・専門クリーニングは、どれも売る前に依頼する必要はありません。かわりに、次のことをしておけば十分です。
| 気になっていること | 売る前にすること |
|---|---|
| 長年調律していない | 調律せず、最後に調律した時期がわかれば伝える |
| 鍵盤やペダルに不具合がある | 直さず、症状をそのまま伝える |
| 外装に傷や汚れがある | 補修やクリーニングはせず、目立つ傷は写真で相談する |
| 掃除をしておきたい | 乾いた布でほこりを払う程度にし、内部の掃除や薬剤は避ける |
ピアノを売る前に調律しなくてもよい理由
売る前の調律が必要ない理由は、査定の仕組みと、買取後のピアノの流れにあります。
査定額は「状態が良い前提」で決まるから
ピアノワンでは、お電話やWEBフォーム、LINEでピアノの情報を伺い、査定額をご案内しています。この査定額は、もともとピアノの状態が良いものと仮定して算出しています。売る前に調律をして音を整えても、査定額が上がりにくいのはこのためです。なお、引取り日に確認した状態が事前のお話より良かった場合も、金額は変わりません。
査定額を大きく左右するのは、メーカーや機種、そして年式です。同じモデルでも、年式の違いで10万円以上の差がつく場合があります。こうした要素は、調律では変えられません。
【関連記事:査定額が決まる仕組み 】
買取後に整備・調律する工程があるから
買い取ったピアノは、そのまま次の持ち主に届くわけではありません。状態を確認したうえで、必要に応じて外装や内部のクリーニング・修復、整調・調律・整音を行い、検品を経て、国内外で再び弾かれる場所へ送り出されます。
調律は、こうした買取後の再生工程の中で、ピアノの状態に合わせて行われる作業です。売る前にお客様が費用をかけて済ませておく必要はありません。

【関連記事:買取後のピアノの行き先と再生工程 】
長年調律していなくても、内部に問題がなければ買取できる
ピアノワンでは、長い間調律していないピアノでも、内部の状態に問題がなければ、査定額に深刻な影響はないとご案内しています。
事例

カワイ DS85B(1975年製)
- 状態:長い間調律していない/外装全体に曇りあり
- 結果:未調律と曇りは減額対象外。引取り当日の減額なし
- 買取価格:40,000円(2025年11月)
※買取価格は、機種・年式・状態・搬出条件によって変わります。この金額は一例で、相場ではありません。
【関連記事:この買取事例の詳細 】
ただし、内部に問題がある場合は別です。買取できるかどうかは、調律の有無よりも、響板の割れや、火災・水害、ネズミや虫による大きな被害など、内部の状態によって判断されます。
【関連記事:買取できないケース】
過去の調律記録と、売る直前の調律は別に考える
「定期的に調律していたほうが有利」と聞いて、売る前に調律を頼もうと考える方もいます。ただ、これまでの調律の記録と、売る直前の調律は分けて考えてください。
過去の調律記録(調律カードなど)は、これまでの手入れの状況を伝える材料です。査定に必須ではありませんが、残っていれば一緒にご用意ください。
売る直前の調律は、依頼する必要はありません。調律にも、思った以上に費用がかかることがあるためです。調律料金の目安は、アップライトピアノで1回12,000〜18,700円ほどです。前回の調律から間が空いていると、割増料金がかかるのが一般的です。10年以上空いている場合は、1万〜1万5,000円以上の割増に加えて、修理が必要になることもあります。
【関連記事:10年・20年ぶりの調律費用の目安】
修理や補修はしてから売るべき?
不具合や傷も、基本的には直さずに査定を受けて問題ありません。先に修理費をかけても、その分が査定額に上乗せされるとは限らないためです。
不具合は直す前に査定へ。症状を伝えれば判断できる
鍵盤が戻らない、一部の音が出ない、ペダルが効かないといった不具合も、直す前に症状をそのままお伝えください。ピアノワンでは、事前に伺った不具合や傷の状態もふまえて査定額をご案内しています。伝えていただいた内容と実際の状態に相違がなければ、引取り当日の減額は基本的にありません。
【関連記事:鍵盤が戻らない原因と対処】
事例

ヤマハ U3A(1985年製)
- 状態:ペダルが機能しない
- 買取価格:160,000円(2026年6月)
※修理の前後で査定額を比べた事例ではありません。金額は一例で、相場ではありません。
気になる不具合や傷は、写真を送っていただければ事前に確認できます。
査定に影響する主な状態と減額の目安
すべての傷や不具合が査定に影響するわけではありません。直すかどうかを判断する目安として、主な状態と査定への影響をまとめました。
| 状態 | 査定への影響の目安 |
|---|---|
| 浅い擦り傷・生活傷 | 影響なし |
| 塗装が剥がれて木肌が見える | 1〜2万円ほどの減額。広範囲の場合は1〜5万円の減額となることも |
| ネズミ・虫の被害、響板の割れ | 大きな減額、または買取できない場合も |
| 消音装置・自動演奏装置の故障 | 減額の対象 |
※ダメージの大きさによって変わるため、一概には言えません。
一方で、直すにも費用がかかります。たとえば外装の部分補修だけでも、一般的な料金の目安は5,000〜18,000円ほどです。直してから売っても、その費用を査定額で取り戻せるとは限りません。
【関連記事:故障・傷のあるピアノの買取】
修理歴は、理由を確認されることがある
過去に修理したことがある場合も、その内容をお伝えいただくことになります。フレンジコードやフェルト、ハンマーなどの修理履歴をお伺いした際には、ネズミや虫の被害による修理ではないかを確認させていただいています。
また、高級ピアノの場合は、純正品以外の部品で修理されていると、査定額が下がる可能性があります。ヤマハやカワイのアップライトピアノであれば、そこまで大きな影響はありません。
売るつもりであれば、修理を依頼する前に一度査定を受け、修理するかどうかを判断するのがおすすめです。
【関連記事:ピアノの修理費用の目安】
査定前の掃除はどこまで必要?
売る前に念入りに掃除したり、専門業者にクリーニングを頼んだりする必要はありません。ご自身でするなら、表面のほこりを軽く払う程度で構いません。
乾いた布でほこりを払う程度で十分
前述のとおり、ピアノワンの査定額は、もともとピアノの状態が良いものと仮定して算出しています。そのため、掃除に費用や手間をかけても、その分査定額が上がるとは限りません。汚れが気になっても無理に落とそうとせず、今の状態をそのままお伝えください。
ほこりや軽い汚れがあるピアノは、珍しくありません。実際の買取実績にも、「多少の埃」「内部に蜘蛛の巣あり」「多少のくもり」といった状態のピアノが並んでいます。
事例

ヤマハ U2H(1972年製)
- 状態:全体にほこり/細かい傷が複数/鍵盤蓋に塗料の跡
- 結果:事前にお伺いしていた状態と相違がなく、引取り当日の減額なし
※「汚れが査定に影響しない」という意味ではありません。お伝えいただいていた状態と違いがなかったため、当日の減額がなかった事例です。
売る前にやってはいけない掃除
きれいにしようとして、かえってピアノを傷めてしまうこともあります。売る前の掃除では、次のことは避けてください。
- ピアノの内部を自分で掃除する:弦やアクションを傷める恐れがあります
- アルコールやベンジンを使う:鍵盤や塗装を傷める原因になります
- 水気の残る布で拭く:木部は水気に弱く、古いピアノの一部に使われているカシュー塗装は、剥げる恐れがあります
- ペダルを研磨剤で磨く:材質によっては、変色や傷の原因になります
カビやサビが気になる場合も、無理に落とさず、査定のときにお知らせください。
【関連記事:正しいピアノの掃除方法】
費用をかけたほうがいいケースもある
ここまでのお話は、買取業者に売る場合の考え方です。次のような場合は、調律や手入れに費用をかけたほうがよいこともあります。
フリマアプリや知人など、個人に売る・譲る場合
フリマアプリでは、買い手は商品説明と写真だけで判断します。知人に譲る場合は、実際に弾いてみてもらえることもあります。どちらも、調律した時期を伝えられたり、外観が整っていたりすると、安心して選んでもらいやすくなります。
ただし、毎年のように調律しているピアノであれば、売る前にあらためて調律しなくてもよいでしょう。ピアノは運ぶときの振動や衝撃で音が狂ってしまうこともあり、運んだあとにもう一度調律が必要になる場合があるためです。
反対に、長年調律していないピアノは、調律に割増料金がかかったり、修理が必要になったりすることがあります。調律を頼む前に費用の見積もりを確認し、その費用を売値にどこまで反映できるかを考えてから決めましょう。
【関連記事:フリマアプリでピアノを売る手順と注意点】
まだ弾く可能性がある場合
この場合の調律は、「売るため」ではなく「使うため」の判断です。手放すかどうか迷っているなら、売る前に一度立ち止まって考えてみてください。
【関連記事:売却後に後悔しないための判断ポイント】
調律・修理に費用をかける前に、査定で伝えておきたいこと
お金をかけて整えるより先にしておきたいのが、ピアノの情報と今の状態を正確に伝えることです。引取り当日の行き違いを防ぐことにもつながります。
査定前に確認しておきたい情報
✓メーカー・機種名(型番)と製造番号:多くの機種では、ピアノ上部の屋根を開けた内側で確認できます。番号が消されているピアノは、買取できないか、大幅な減額になります
✓調律の状況:最後に調律した時期がわかればお伝えください。わからなくても問題ありません
✓不具合:鍵盤が戻らない、音が出ない、ペダルや消音装置が効かないなど
✓傷:塗装が剥がれて木肌が見える傷や、ひびなど
✓搬出の状況:ピアノを置いている階、階段やエレベーターの有無、家の前にトラックを停められるかなど
【関連記事:ピアノの型番・製造番号の調べ方】
搬出状況の伝え方や、費用・受取額・キャンセルの条件など、申込み前に確認しておきたい点はこちらでまとめています。
【関連記事:ピアノを売る前に確認しておきたいこと】
気になる傷や不具合は、写真で事前に確認する
状態をうまく説明できない場合や、傷の程度を自分では判断できない場合は、写真を送っていただければ事前に確認できます。写真がなくても、お見積りは可能です。
ピアノワンでは、引取り当日にピアノ専門の運送会社が状態を最終確認し、事前に伺った内容と相違がなければ、そのままお引取りとなります。伺っていなかった傷や不具合が見つかり、査定額が下がる場合は、その場で無料でキャンセルできます。

【関連記事:減額になった際のキャンセルについて】
まとめ|ピアノを売る前は、調律・修理より先に査定を
- 買取業者に売るなら、調律・修理・補修・専門クリーニングを先に依頼する必要はありません
- 掃除は乾いた布でほこりを払う程度にとどめ、内部の掃除や薬剤の使用は避けましょう
- 型番・製造番号と、不具合や傷、搬出の状況をわかる範囲で確認し、正確に伝えましょう
- 個人に売る場合や、まだ弾く予定がある場合は、調律や手入れを検討する価値があります
費用をかけるかどうかは、今の状態での査定額を知ってから決めても遅くありません。
この記事を書いた人
代表取締役社長
東 和樹
紹介文
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