ピアノの歴史|ピアノの起源から現在まで
ピアノの王様と言われる「ピアノ」
数ある楽器の中で、もっとも身近かつ愛されている楽器と言ってよいでしょう。
今回は、そんなピアノの歴史についてお話したいと思います。
ピアノの起源から現在に至るまでの歴史を知ることで、きっとピアノをもっと身近に感じることができるはずです。
ピアノ愛好者の方、ピアノについてもっと知りたい方は必読ですよ!
ピアノの原型を作った人物
ピアノ愛好家の方なら一度は「ピアノを作ったのは誰?」と思われたことがあるのではないでしょうか?
お子さんに「誰が最初にピアノを作ったの?」と質問された経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
そこで、ここではピアノの原型を作った人物についてお話ししたいと思います。
ピアノの原型を作ったのはイタリア人楽器製作家
ピアノの原型を作ったのは、イタリア人の楽器製作家である、クリストフォリです。(Bartolomeo Cristofori di Francesco)
クリストフォリは、フィレンツェのメディチ家に仕えた楽器製作家で、当時広く愛用されていた、チェンバロの音の強弱が乏しいことを不満に思い1700年前後に改良したと言われています。
クリストフォリによるピアノの原型とは
クリストフォリが作成したピアノは「チェンバロ コル ピアノ エ フォルテ」と命名されました。
ピアノとフォルテはそれぞれ、楽語の「p(ピアノ)」と「f(フォルテ)」を指すことから、訳すと「ピアノとフォルテを備えたチェンバロ」となります。
ちなみに、音域は4ターブと狭いながらも、現代のピアノが持っているほぼ全ての特徴を備えており、まさに今日のピアノの原型です。
現存する、クリストフォリの作成したピアノは合計3台で、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ローマの国立楽器博物館、ライプツィヒのライプツィヒ大学博物館に展示されています。
ピアノの前身楽器 クラヴィーコード

ピアノの原型となった楽器が作られたのは、1700年前後ですが、実はそれ以前にピアノの前身と呼ばれる楽器が存在し、広く親しまれていました。
その一つが、クラヴィコードです。
クラヴィコードについて
クラヴィコードは14世紀頃に発明された鍵盤楽器です。
脚のある独立するタイプと、専用の台やテーブルに置いて使用するタイプの2種類があり、オルガンやチェンバロ、ピアノなどと並行して、16世紀から18世紀にかけて広く使用され、愛されていました。
クラヴィコードは、タンジェントと呼ばれる真鍮棒で弦を押し上げることによって発音する構造になっており、独特の音色を持ちます。
クラヴィコードは「蚊の鳴くような音」と表現されることが多く、音量が非常に小さいため演奏会で使われることは稀で、家庭で楽しまれていました。
クラヴィコードの特色
クラヴィコードの特色を簡単にまとめると、以下のようになります。
- 音量が極めて小さい
- 音域は4オクターブから6オクターブ
- 音の強弱を付けることができる
- 打鍵した後にビブラートを付けることができる
この中で、特筆すべきは、打鍵した後にビブラートを付けることができる点でしょう。
ピアノ、オルガン、チェンバロなど鍵盤楽器は複数ありますが、打鍵した後にビブラートをつけることができるのはクラヴィコードだけです。
そのため、弦楽器のような抒情的な演奏をすることが可能で、これも長きに渡ってクラヴィコードが人々に愛された理由ではないでしょうか。
ピアノの前身楽器 ハープシコード

ピアノの前身の楽器としては、ハープシコードもあげられます。
ハープシコードは、チェンバロのことで、フランスではクラブサンと呼ばれている楽器です。
ハープシコードについて
ハープシコードは15世紀に作られ、ヨーロッパで広く愛された鍵盤楽器です。
しかし、18世紀のピアノの興隆とともに音楽演奏の場から姿を消しました。
しかし、20世紀にはいると古楽の再考のために復興され、近年はバロック音楽の人気の高まりに比例し、ますます演奏される機会も増えています。
ハープシコードの内部には、金属製の弦がはられており、弦を木製の板に付いているピックで引っ掛けることで発音します。
ハープシコードは弦を弾いて音を発するため、ハープやギターにも似た独特の音がします。
哀愁をはらんだような音色のファンは多く、最近では軽音楽に用いられるほどの人気です。
ハープシコードの特徴
ハープシコードの特徴をまとめると以下のようになります。
- 音の強弱の幅が小さい
- 音量がピアノより小さい
- 調律が狂いやすい
- 黒鍵と白鍵がピアノと逆
ハープシコードは、ピアノに比べると音量は小さく、強弱をほとんど付けられないのが特徴です。
そのため、演奏の際は、レガート、スタッカート・レガートなどアーティキュレーションが重大な役割を果たします。
奏者の解釈が問われますが、これもハープシコードならではの魅力と言えるでしょう。
クラシックピアノの始まり
ピアノの前身となるクラヴィコードとハープシコードについてはご理解いただけたはずです。
そして、この2つの鍵盤楽器を経て、いよいよ私たちにとって深い現在のピアノ「クラシックピアノ」が誕生しました。
クラシックピアノは、最初は長方形の形状のスクエアピアノでした。
しかし、ロマン派音楽が発展する中、ピアノには素早い打鍵や、トリル、そして豊か音量が求められるように。
そして、生まれたのがグランドピアノです。
ショパンやリストが活躍した時代には、グランドピアノの音域は82鍵に広がり、ほぼ楽器として完成されました。
数々の作曲家たちによって、ピアノは進化したと言っても過言ではないでしょう。
ちなみに、アップライトが作成されたのは、ブランドピアノのはるか後、1800年代です。
そして、アップライトピアノの誕生によって、ピアノは加速度的に広まり、世界中の一般家庭に普及したのです。
ヤマハ・カワイの国産ピアノの始まり
ピアノの原型が生まれたのは1700年前後ですが、日本に初めてピアノが持ち込まれたのは1823年の7月6日です。
欧州に100年以上の遅れを取った日本ですが、そこから目を見張るほどのピアノ文化の普及が始まります。
そんな中、生まれたのが「ヤマハ」と「カワイ」という日本の2大ピアノメーカーです。
ヤマハの歴史
ヤマハの歴史は、1887年(明治20年)にまでさかのぼります。
ヤマハの創業者である「山葉寅楠」氏は、アメリカ製のオルガンと出会い、その魅力に取りつかれすぐにオルガン作成に取り組みました。
その後、ピアノ製造を夢見た山葉氏は単身でアメリカに渡り、ピアノ製造のノウハウを学び、ついに1900年(明治33年)アップライトピアノの作成を始めます。
そして、そのわずか2年後の1902年にヤマハ最初のグランドピアノが完成しました。
さらに、初めてのグランドピアノが完成してから約50年の時を経て、ヤマハ発のコンサートグランドピアノFCが誕生し、世界トップクラスの仲間入りを果たしたのです。
2023年の現在では、CXシリーズを始めとするヤマハのグランドピアノが世界の檜舞台で活躍しています。
以下の記事で更に詳しく解説しています。
【関連記事】ヤマハピアノの歴史|創業者や発祥地など年表で紹介
ヤマハのピアノの特徴
世界的な人気を誇るヤマハのピアノですが、いったいどんな特徴があるのでしょうか?
ここでは、簡単にヤマハのピアノの特徴をご紹介します。
- 明るく華やかな音色
- 軽快なタッチ
- 高音域の伸びやかさ
- 木製アクションがメイン
- 安定したクオリティで個体差が少ない
ヤマハは、スタインウェイに似た明るく華やかな音色を持つ、と言われることが多いピアノメーカーです。
また、欧州メーカーのように楽器の個体差が少なく、どのピアノも一定のクオリティを保っていることから、海外の音楽学校でも多く使用されています。
タッチも軽めなため、子供のピアノ学習にも向いていると言われ、多くの家庭で愛されています。
カワイの歴史
カワイの創設者である「河合小市」氏は、12歳のころよりヤマハ創設者の山葉寅楠氏の元で働いていました。
その後、1927年に独立し「河合楽器研究所」を設立し、独自のピアノの開発が始まります。
カワイ初のピアノは、64鍵の小型のアップライトでした。
しかし、そのわずか1年後にはグランドピアノを誕生させたのです。
1953年には年間1500台のピアノを生産、その功績がたたえられ河合小市氏は、天皇陛下に表彰されています。
1955年からは、河合滋氏が引き継ぎ翌年にカワイ音楽教室を創設、1963年以降には、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダへと拠点を広げ、今や世界的ピアノメーカーの1つです。
カワイのピアノの中でも「Shigeru Kawai(シゲルカワイ)」の世界的評価は非常に高く、様々な国際コンクールにも用いられています。
以下の記事で更に詳しく解説しています。
【関連記事】カワイピアノの歴史|創業者や発祥地など年表で紹介
カワイのピアノの特徴
ここでは、カワイのピアノの特徴を簡単にご紹介します。
- 温かみのある音色
- カワイトーンと呼ばれる重厚な低音
- タッチはやや重め
- アクションに一部金属を使用
- アップライトの価格がヤマハよりやや安価
カワイは、ベーゼンドルファー音色に似ていると称されることが多いでしょう。
「カワイトーン」と呼ばれる重厚な低音部は多くのファンを持ちます。
タッチがやや重めなピアノが多いとされていますが、モデルによるため一概には言えません。
ヤマハとカワイのピアノの違いをもっと詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください!
【関連記事】ヤマハとカワイの違いを解説
電子ピアノの登場

ピアノの原型が誕生してから、今日に至るまでピアノは進化し、ますます身近な楽器になりました。
そして、この十数年は電子ピアノの人気も上昇中で、それに伴い普及率も上がっています。
ここでは、電子ピアノの歴史と特徴をご紹介します。
電子ピアノの歴史
電子ピアノが初めて作られたのは、1960年代に入ってからです。
「アレル・オルガン・カンパニー」が発表したRMIエレクトラピアノが初めての電子ピアノであるとされています。
しかし、この電子ピアノは、強弱や音量や音色をつけるのはほぼ不可能で、いわばキーボードのようなものでした。
一方、日本で初めて電子ピアノを作ったのはローランド社で、1973年にEP-10を発表しています。
その翌年には、世界発のタッチで強弱を変えることができる電子ピアノが開発され、1976年にはヤマハも電子ピアノを発表しています。
そして、その後の電子ピアノの進化は驚異的ともいえるレベルで、アコースティックピアノに近い音色、タッチを再現しつつ、スマホと連携したり、練習曲が内蔵されていたり様々な最先端機能が搭載されているモデルも。
電子ピアノは、今後の更なる進化も期待される可能性を秘めた現代のピアノと言えるでしょう。
電子ピアノの特徴
ここでは、電子ピアノの特徴を簡単にご紹介します。
- 様々な価格帯のものがある
- アコースティックピアノに比べて軽い
- 省スペース
- モデルによって機能とクオリティに大きな差がある
- 様々な機能を搭載している
- 調律の必要がない
電子ピアノは、安価なものでは数万円、高価なものでは数百万円と価格帯が広く、一般的には高価な電子ピアノほど搭載されている機能が多彩で、タッチや音色もアコースティックピアノに近い仕様です。
また、電子ピアノは10㎏程度からあるため、マンションやアパートなどの集合住宅にも置けることが人気を後押ししています。
さらに、調律の必要がなく、維持費がかからないのも電子ピアノならではの特徴と言えるでしょう。
「アップライトピアノと電子ピアノの違いを比較|どっちにするかお悩みの方に」で、アコースティックピアノと違いを説明していますので、ぜひあわせてチェックしてみてくださいね!
そして現在
長い歳月をかけ、ピアノは現在の形になったことがおわかりいただけたと思います。
わが国日本は、世界的に見てもピアノ愛好者が多い国のひとつで、ピアノの普及率は約25%と世界トップレベルです。
ピアノワンでは、ピアノを所有する家庭を対象にどのタイプのピアノを所有しているかアンケートを行いました。

結果は、1位がアップライト、2位が電子ピアノ、3位がグランドピアノとなっています。
近年は、所有しているアップライトやグランドピアノを売却して電子ピアノを購入する家庭も増加中です。
幸い、現代は様々なタイプのピアノがあるため、目的と居住環境にあわせて選ぶことができますね!
まとめ
今回はピアノの歴史についてお話しさせていただきました。
ピアノが生まれてから300年以上たちますが、ピアノの人気はますます高まるばかりです。
楽器は数あれど、愛好者の数からいってもピアノほど「楽器の王様」と呼ぶにふさわしい楽器はないですね!
ぜひみなさんも、ピアノの歴史に思いをはせながら、いろんなピアニストの演奏を聴いたり、自分もピアノを弾いてみてはいかがでしょうか?
以下の記事もピアノにまつわる内容です。是非ご覧ください!
【関連記事】世界の高額ピアノ|ブランド別最高峰モデルの価格を紹介
【関連記事】日本、海外のピアノメーカー(ブランド)一覧|完全ガイド
この記事を書いた人
代表取締役社長
東 和樹
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