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アコースティックピアノに必ず必要な「調律」
一般的には、1年に1度程度の頻度で調律師さんに依頼しますよね。
しかし「ピアノの調律は自分でできないの?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回はピアノの調律を自分でする方を徹底解説します!
あわせて、自分でピアノの調律をするメリット・デメリットもご紹介しますので、ピアノを自分で調律してみたい方は必読ですよ!
目次
ピアノを自分で調律する方法をご紹介する前に、まずは自分で調律することのメリット・デメリットをご紹介します。
それでは、まずはピアノを自分で調律するメリットからご紹介していきます。
実は、ピアノを自分で調律するメリットはそう多くはありません。
メリットとしてあげられるのは、以下です。
ピアノを自分で調律すれば、必要な道具以外のコストがかかりません。
調律師に依頼すると、アップライトであれば1万5千円~2万円程度、グランドピアノであれば2万円~2万5千円程度がかかります。
道具は一度購入すれば、その後も使えるため、自力での調律はコスパは良いと言えるでしょう!
また、ピアノを自分で調律することで、自分好みの音色に調節できるのもメリットと言えます。
ただし、音程と音色の調整を自力で行うには、ある程度の経験が必要なため、最初から自分好みの音色に調律するのは難しいかもしれません。
そして、自分で調律すれば、調律師を探し手配する手間が省けます。
多忙で調律師との予定があわない方にとっては、自分の空き時間で好きな時に調律できるのはメリットと言えるのではないでしょうか。
次は、ピアノを自分で調律するデメリットをご紹介します。
自分でピアノを調律することに関しては、実はメリットよりデメリットが多いと言えます。
デメリットとしてあげられるのは、以下です。
ピアノは非常にデリケートな楽器で、調律には微妙な調整が求めらます。
そのため、調律するつもりが正しくできず、さらに音程が狂ってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
また、誤って弦を切ってしまうケースも少なくありません。
そして、ピアノの屋根を外したり、フェルトを外したりした時に、元に戻せなくなってしまう方も少なからずいます。
くわえて、ピアノの調律はプロの調律師でも1時間半~2時間程度かかる作業なため、慣れない方が行うとさらに時間がかかる可能性も。
さらに、初めて調律をする時は、道具を揃えるコストもかかります。
道具によって料金は異なりますが、調律セットは5千円程度、チューナーは1万円程度、本格的なチューナーやアプリは10万円前後と高額です。
このように、ピアノの調律はメリット以上にデメリットがあります。
それを踏まえた上で、自分でピアノを調律したい方は、この後ご紹介する方法を参考にしてくださいね!
お話ししたように、ピアノを自分で調律することにはデメリットとリスクがあります。
それでもやってみたいと思う方は、これからご紹介する方法を参考にしてくださいね!
ピアノの調律には道具がマストです。
ここでは、ピアノの調律に必要な最低限の道具をご紹介します。
チューニングハンマー | ピアノの弦を締めたり緩めたりするための道具 |
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音叉 | 基準の音(周波数)を設定するための道具 |
チューナーもしくはアプリ | 入力されたピッチと基準音の差を視覚化して表示する道具・アプリ |
ロングミュート | 不要な音が鳴らないよう弦の振動を止め、基音を取る作業に用いる道具 |
フェルトウェッジ ゴムウェッジ | 低音部は2本、中高音部は3本ずつの弦のユニゾンを合わせる為に、不要な音を止める道具 |
木ウェッジ | アップライトピアノ、次高音、高音部の調律のための道具 |
ピアノの調律を自分で行うには、以上の道具が必要です。
それぞれ簡単に説明していきますね!
ピアノの弦が巻き付いているチューニングピンを回すための道具です。
チューニングハンマーがないと、ピアノの弦を緩めたり、締めたりして音程を調節することができないため、調律にはマストと言えるでしょう。
価格は、500円~2,000円が相場です。
音叉は、調律の基音となるA(ラ)の音を取るための道具です。
現代のピアノのピッチは、A=440か、A=442のどちらかに調律することがほとんどなため、音叉も2種類あります。
音叉は3,500円~6,000円前後が相場です。
チューナーとは、チューニング・メーターの略で、楽器を調律するための道具です。
入力されたピッチと基準音の差を視覚化することができるため、初心者がピアノを調律する際に必要不可欠です。
最近は、チューナーアプリも多数リリースされています。
価格は10,000円~10万円を超えるものまで、様々です。
ロングミュートは、ピアノの音を止めるための道具です。
ピアノの弦は1音に対して中音、高音部で3本の弦が張られています。
その弦の中で、聞きたい音だけを聞くために、ロングミュートをつけてその音の基準を作っていくのです。
価格は500円~1000円程度が相場でしょう。
フェルトウェッジとゴムウェッジは、ロングミュート同様、出したくない音を止めるための道具です。
ロングミュートがまとめて何音が消音できるのに対し、フェルトウェッジとゴムウェッジは、あくまで1弦ずつの消音に使います。
価格は500円~1000円が相場です。
木ウェッジは、アップライトピアノの高音部に使用する道具です。
ロングミュートやフェルトウェッジ・ゴムウェッジ同様、特定の音を消音するために使います。
高音部は、ゴムウェッジを押すとハンマーと衝突してしまうため、木ウェッジを使用する必要があるのです。
価格は500円~1000円前後が相場です。
ピアノの調律に必要な道具はご理解いただけたのではないでしょうか?
ここでは、ピアノの調律を自分でする方法をご紹介します。
ピアノの調律には「音程のチューニング」と「アクションの調整」の2つがあります。
しかし、自分でできる調律は、音程のチューニングのみです。
なぜなら、アクションの調整は、内部構造であるタッチの深さやフェルトの固さの調整など、高い技術と経験が必要だからです。
そこで、今回は音程のチューニングに絞って、自分でピアノを調律する方法をご紹介します。
以上6ステップが基本の調律の方法です。
それぞれ、詳しく説明していきますね!
まずはピアノ全体を弾いてみて、特に狂っている音がないか、出ない音がないかを確認しましょう。
出ない音がある場合は、自力での調整が難しいため調律師に相談することをおすすめします。
次はすべての音の基本となる「基音」のピッチをあわせます。
基音とは、最低音から37番目のA(ラ)の音のことです。
他の弦が振動しないように、ロングミュートやウェッジを弦に巻き付けて、音叉、チューナーを用いて設定したい周波数に合わせましょう。
現在は、周波数はA440が一般的です。
基音の調律ができたら、次は基音から12平均律(1オクターヴの音程を等しい周波数で12等分した音律)で音を設定していきます。
1音に対して3本張られた弦のうち、まずは真ん中の弦からあわせていくと、調律しやすいでしょう。
チューニングピンを回す時は、ある程度力をかけつつ優しくまわしましょう。
次は、他のオクターブとユニゾンのピッチもあわせていきます。
オクターブは、まずは高音部、その後に低音部をあわせるのが基本です。
調律したオクターブと聞き比べたり、チューナーで確認しながら同じ高さになるようにします。
ユニゾンとは、高さが異なる同じ音のことです。
例えば、中央のドと1オクターブのドを一緒に鳴らした時に違和感があってはなりません。
耳で聞きつつ、チューナの数値もチェックすることで均一になるでしょう。
全オクターブの調律が終わったら、すべての音をチェックします。
音のピッチに加え、音色が極端に異なる音がないかも確認しましょう。
自分で判断が難しい時は、家族や友人など、第三者の耳を借りるのも有効です。
全ての音をチェックしてみて、違和感のある音が見つかったら再調律します。
調律する際、弦をいったん緩めてから締めるようにしましょう。
こうすることで、誤って弦を切るリスクを回避することができます。
音程をあわせる程度の調律であれば、道具とある程度の知識、そして音を判断するスキルがあれば可能です。
しかし、中には、必ず調律師に依頼した方が良いケースも!
そこで、ここでは調律師に依頼すべきピアノの状態をご紹介します。
弦が切れている場合は、張り替えが必要です。
ただ、弦の張り替えは専門的なスキルが必要なため、調律師に依頼しましょう。
また、フェルト、ハンマー、金属などのパーツの損傷が激しい場合も、交換が必要です。
パーツの中には、専門知識がないと劣化しているか判断が難しいものも。
パーツの損傷が激しいと、どんなに時間をかけて調律してもい上手くいかない場合が多いため、やはり調律師に相談するのがおすすめです。
特定の音が出ないケースもまた、自力での調律は難しいでしょう。
なぜなら、特定の音が出ない原因は、異物の混入、湿度、クロスの摩耗など多岐に及ぶため、専門知識がないと対処が困難なのです。
そして購入してからすぐ~2年程度の新しいピアノは、調律が狂いやすく、音程がなかなか安定しないのが特徴です。
ピアノの状態の変化にあわせた調律が必要になるため、難しいと感じたら調律師に相談しましょう。
反対に、古いピアノや何年も調律されていないピアノで、特に音程の狂い方が激しい場合は、パーツの劣化が考えられます。
弦の張り替えが必要なケースや、ハンマーが虫食いにあっていることもあるため、自力での調律は難しいかもしれません。
そして、自分で調律をしてみたけどうまくいかない場合は、速やかに調律師に依頼した方がよいでしょう。
調律師が調律する様子を見せてもらえば、2回目以降に自分で調律する際に役立ちますよ!
最後に、自分で調律する際の注意点をご紹介します。
今回は、実際に調律師に聞いたアドバイスを要約してご紹介しますね!
ピアノは温度・湿度の影響を受けいやすいデリケートな楽器です。
調律にかかる時間は、プロの調律師でも1~3時間、初めて自分でやる場合は、さらに時間がかかることが予想されます。
調律の最中に、室内の温度や湿度が変わると、その度にピッチや音色が微妙に変化するため、なかなか調律が進まない可能性があります。
そのため、調律を始める1時間程度前から、エアコンや加湿器・除湿器などを使って、部屋の湿度・温度を一定に保つようにしましょう。
ちなみに、ピアノにとって理想的な温度は15度~25度、湿度は冬季が35%~65%、夏季は40%~70%です。
そして、ピアノの調律の際に、パーツを外した後に元に戻すことができないケースも少なくありません。
自信がない方は、分解する前や分解の過程ごとにスマホで撮影するのがおすすめです。
また、ハンマーを回す作業は意外と重労働!
動きやすい服装で、そしてけがをしないために手袋も着用しましょう。
しかし、もっとも大切なことは、難しいと感じたらすぐに作業を中断することです!
強引に調律を続けてもよい結果は得られない可能性が高く、それどころか無理な作業で弦やハンマー、フェルトを傷つけると交換することになり、通常の調律以上の料金がかかってしまいます。
いざという時に、さっと依頼できるように信頼できる調律師を探しておくとよいでしょう。
調律師は、以下の4つのポイントに沿って選びましょう。
一般的に、「ピアノ調律技能士」の資格を所有している調律師はスキルが高い傾向にあるため、安心して依頼できます。
また、調律を依頼する時は、適正料金であるかもチェックしましょう。
調律料金の相場は、アップライトが1万円~1.5万円、グランドが1.5万~2万前後です。
不安な場合は、見積りを依頼して比較・検討するのもよいでしょう。
そして、口コミ・評判も調律師を選ぶ上で大切なポイントです。
周りにピアノを所有している人がいたら、紹介してもらうとよいでしょう。
ツテがまったくない場合は、ヤマハやカワイなどの楽器店に問い合わせると、提携している調律師を紹介してもらえますよ!
今回は、ピアノを自分で調律する方法とメリット・デメリットをご紹介しました。
基本的には、ピアノの調律は調律師にお任せした方が安心です。
実際、多くの調律師は、自分での調律は推奨していません。
ピアノの構造は複雑で繊細です。
調律師による調律は、音程を正しく調整するだけでなく、ピアノの状態をチェックする総合メンテナンス!
大切なピアノを良い状態で長く愛用するために、調律は調律師に依頼するのがベストです。
また、ピアノは定期的に掃除することで、よい状態で保管することができます。
ぜひ本サイトの「ピアノの掃除方法|正しいお手入れの仕方や頻度などを解説」も参考にしてくださいね!
この記事を書いた人
東和樹
ピアノワン買取責任者
大切なピアノの最後を気持ちよく迎えられるよう、何よりも丁寧なサポートを心がけて業務を行っております。些細な事でもお気軽にご相談ください。