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今回は象牙の鍵盤を用いたピアノの買取価格への影響などをご紹介します。
象牙とはその名の通り、象の口から突き出ている長いきばになります。
その象牙を用いた鍵盤は指が吸い付くようなタッチ感となっており、スタインウェイ&サンズやベヒシュタイン等の高級ピアノ、またヤマハ、カワイ等の上位モデルに採用されていました。
ただ、1989年のワシントン条約で象牙の輸入が禁止されて以降、新たに象牙の鍵盤を作ることは出来なくなりました。ピアノの鍵盤は、印鑑などと並び日本国内で流通する代表的な象牙製品でもありました。
現在のピアノはアクリルや人工象牙(ファインアイボリー)が使用されています。
一見、見分けがつきにくいのですが、象牙の鍵盤はややザラザラした感触で、人口象牙はサラサラした感触となっています。また、象牙の鍵盤は汗を吸収しやすく鍵盤が黄色くなりやすい特性を持っています。
結論から申し上げますと、象牙の鍵盤だからと言って買取価格が高くなることはありません。
1つ目の理由としては象牙鍵盤によく起こる、白い鍵盤の黄ばみです。普通の鍵盤と異なり、汗を吸収しやすい素材となっており、変色が発生しやすくなっています。黄色くなることは良いピアノの証にはなるのですが、かと言って査定額に好影響を与える訳ではありません。
2つ目の理由として、ワシントン条約のルール上、輸出入の際に象牙の鍵盤は全て取り外さないといけないケースがあります。現在、一切の象牙の輸出入が禁止されているので、かえって象牙の鍵盤がひと手間を増やしてしまう要因にもなります。
3つ目の理由として、鍵盤の割れなど損傷がある場合に修理が難しい事です。象牙の鍵盤を国内で取り寄せるには一般的な鍵盤と違い、入手が困難な上、コストがかかります。修理の際にコストがかかることも査定額に好影響を与えない要因の一つです。
象牙の鍵盤が希少であるのは間違いないのですが、上記の理由により買取の際はかえって悪い影響を与えるケースもあります。
この記事を書いた人
東和樹
ピアノワン買取責任者
大切なピアノの最後を気持ちよく迎えられるよう、何よりも丁寧なサポートを心がけて業務を行っております。些細な事でもお気軽にご相談ください。