ピアノの防音対策完全ガイド|マンション・一戸建て別の方法と費用

ピアノの防音対策|マンション、一戸建て別に徹底解説
目次

自宅にピアノを置いている方なら、誰もが一度は「防音対策」について考えたことがあるのではないでしょうか。

この記事を読んでくださっている方の中には、すでにご近所からピアノの音について指摘を受けて、対応に悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。

今回は、ピアノの防音対策について、マンション・一戸建てそれぞれのケースに分けて解説します。あわせて、防音対策の考え方の基本となる「音の伝わり方」や、実際に苦情が来てしまった場合の対応の仕方まで、できるだけ実践的な内容でまとめました。

ピアノの防音対策で悩んでいる方これからピアノを購入予定の方はぜひ参考にしてください。

ピアノの音はどのくらい大きい?

ピアノが好きな方にとっては、ピアノの音は美しいもので、うるさいと感じることは少ないかもしれません。

そのため、つい防音対策を後回しにしてしまっている方もいるのではないでしょうか。

ピアノの音量を図書館や会話、テレビなどと比較した表

この表からわかるように、ピアノの音は子供の練習程度であっても、救急車のサイレンより大きいことがあります。

一般的に人が「うるさい」と感じ始めるのは50dBから、環境省が定める住宅地の騒音基準は昼間で55dB以下、夜間で45dB以下とされています(※基準値は地域によって異なります)。

もちろん、実際に隣家や階下に伝わる音はこの数値よりは小さくなりますが、マンションやアパートの場合は壁や床を伝って音が届くため、子供の習い事や趣味として楽しむ程度であっても、防音対策はしておいた方が安心です。

音大受験生や現役の音大生がいるご家庭では、練習時間も長くなる傾向があるため、よりしっかりとした防音対策を検討したいところです。

ピアノの防音対策が必要な理由

ピアノの音が原因で、近隣トラブルに発展してしまう例は実際に存在します。中には、長期間の苦情が解決せず、話し合いがこじれてしまったケースも報告されています。

ただし、こうしたトラブルの多くは、事前の対策や近隣への一言の配慮で防げるものでもあります。「うちは大丈夫」と先送りにせず、できる範囲で早めに対策をしておくことが、結果的に円滑な近所付き合いにつながります。

この記事で紹介する対策を組み合わせれば、過度に心配する必要はありません。順番に見ていきましょう。

音の伝わり方を知ろう|空気音と固体音の違い

防音対策を考えるうえで、まず知っておきたいのが「音の伝わり方には2種類ある」という点です。これを理解しておくと、「なぜ床の対策と壁の対策の両方が必要なのか」が分かりやすくなります。

ピアノの空気音と固体音が壁・窓・床から伝わる仕組み

空気音(壁・窓から漏れる音)

空気中を伝わって耳に届く音のことです。音源から離れるほど弱くなり、壁や窓などの遮蔽物によって遮断されます。ピアノの音がドアや窓のすき間から漏れ出すのは、この空気音にあたります。

固体音(床・振動で伝わる音)

床や壁、天井などを振動として伝わっていく音のことです。ピアノの打鍵やペダルの振動が床に伝わり、それが階下や隣室に「ドンドン」というような音として聞こえることがあります。空気音と違い、カーテンなどでは防ぎにくいのが特徴です。

アップライトとグランドで音の出る方向が違う

ピアノの種類によって、音が出やすい方向にも違いがあります。

  • アップライトピアノ:背面から音が出やすい構造のため、背面の壁側の対策が特に重要です。
  • グランドピアノ:本体の下から音が響きやすいため、床面の対策の優先度が上がります。

「とりあえず壁に防音シートを貼ればいい」と考えてしまいがちですが、自宅のピアノの種類と部屋の配置によって、優先すべき対策は変わってきます。次の章からは、住居タイプ別に具体的な対策を見ていきましょう。

【予算別】マンションのピアノ防音対策

マンションは壁や床を伝ってピアノの音が漏れやすく、一戸建てに比べて近隣トラブルも起きやすい傾向にあります。お金をかけずにできる工夫については、記事後半の「【防音室やDIYが難しい方向け】今すぐできるピアノの防音対策」でまとめて紹介していますので、ここではグッズや設備を使った対策を中心に紹介します。

まず優先したいのは床・壁・窓の3か所

ピアノ防音で優先したい床・壁・窓の3か所と対策方法

ピアノの音は、主に「床(固体音)」と「壁・窓(空気音)」の2方向から漏れます。どこから対策すればいいか迷う場合は、まず床と壁、窓の3か所を意識すると、効率よく音漏れを軽減できます。

アップライトピアノなら背面の壁側、グランドピアノなら床側を特に重点的に対策すると、より効果を実感しやすくなります。

床対策:防音マット・インシュレーター

床に防音マットを敷く

固体音は床を伝って階下に伝わるため、床に防音マットを敷くことが効果的です。ペダルを踏む際の振動も吸収してくれるうえ、床に跡や傷がつきにくくなるメリットもあります。

防音マットには抗アレルギー・抗ダニ・防水など複数のタイプがあり、ご自宅の状況に合わせて選ぶことができます。部屋の広さにもよりますが、1〜3万円程度で対策できます。

インシュレーターを取り付ける

ピアノの脚の下に置く防音グッズで、床への振動を軽減する効果があります。固体音対策として防音マットと並んでよく使われるアイテムで、ピアノの重さでフェルトなどが床に跡をつけてしまうのを防ぐ役割も兼ねています。価格は1セット数千円程度からと手頃で、防音マットと併用することで、より高い効果が期待できます。

壁・窓対策:防音パネル・防音カーテン・パーテーション

防音壁・防音パネルを設置する

壁に立てかけたり貼り付けたりするタイプの防音壁・防音パネルです。本格的なリフォーム工事をしなくても、一定の防音効果が期待できます。接着剤を使わず壁に立てかけるだけのタイプもあり、賃貸でも導入しやすいのが特長です。

化学物質不使用でアレルギーが気になる方でも使いやすいタイプもあり、ご家庭の状況に合わせて選べます。価格帯は商品によって幅がありますが、簡易タイプであれば1枚数千円から、本格的な大判パネルでは数万円〜数十万円になることもあります。

防音カーテンを取り付ける

窓は壁より薄く、ピアノの音が漏れやすい場所です。防音カーテンに替えることで、サッシのすき間からの音漏れも軽減できます。価格は3,000円程度からあり、コスパの良い対策のひとつです。遮光効果のあるものを選べば、ピアノに直射日光が当たるのを防げるため、楽器の劣化予防にもつながります。

ピアノをパーテーションで囲う

リビングにグランドピアノを置いている場合は、ピアノの周りをパーテーションで囲うだけでも、一定の防音効果が期待できます。防音マットのように移動させる必要がなく、設置の手軽さがメリットです。単品での防音効果は限定的ですが、防音パネルや防音カーテンなど他の対策と併用することで、音漏れの軽減につながります。

夜間対策:消音ユニット

ピアノにサイレント機能(消音ユニット)を取り付ける

「ピアノ消音ユニット」を取り付けると、日中はそのままアコースティックピアノとして演奏し、夜間や近隣への配慮が必要な時間帯だけヘッドホンで演奏することができます。お手持ちのピアノを、必要なときだけ電子ピアノのように使えるイメージです。

ほとんどのアップライトピアノに対応していますが、機種によっては設置できない場合もあるため、まずは楽器店や調律師に相談してみましょう。本体価格はおおよそ20万円程度、取り付け費用が別途5〜6万円程度かかるのが目安です。費用はかかりますが、防音効果は高く、すでに苦情を受けている場合の有力な選択肢になります。



ピアノを売却する際、サイレント機能が付いているから買取価格も上がるのでは?と感じるかもしれませんが、これに関してはYESともNOとも言えません。

サイレント機能は電力を使う電子製品となりますので、壊れていたりすると買取価格は下がる傾向にあります。その点は注意しましょう。

【関連記事】ピアノ買取で自動演奏や消音装置付きは査定額に響く?

本格対策:簡易防音室

簡易防音室を設置する

マンションで1部屋を丸ごと防音室にするのは難しい場合でも、組み立て式の簡易防音室であれば、限られたスペースに設置できます。工具不要で組み立てるだけのタイプも多く、DIYが苦手な方でも導入しやすいのが利点です。2〜3畳程度のサイズで20万円前後から購入できる製品もあります。

マンション防音対策一覧

マンションのピアノ防音対策と費用の目安一覧

賃貸マンションで注意すべきこと

賃貸マンションでは、防音対策をする前に確認しておきたいポイントがあります。

  • 壁への接着・釘打ちの可否:防音パネルや防音マットの中には、設置に接着剤や両面テープを使うタイプがあります。退去時の原状回復義務に関わるため、契約内容や管理会社への確認をおすすめします。
  • 管理規約の確認:マンションによっては、ピアノなどの楽器演奏に関する規約(演奏可能な時間帯など)が定められている場合があります。
  • 設置・撤去のしやすさ:引っ越しの可能性がある場合は、原状回復が簡単なタイプ(置くだけ・立てかけるだけのもの)を選んでおくと安心です。

【予算別】一戸建てのピアノ防音対策

一戸建てはマンションに比べると近隣への影響は限定的になりやすいものの、住宅街では隣家との距離が近いこともあり、防音対策が不要というわけではありません。

前章で紹介したマンション向けの対策は、一戸建てでも同様に活用できます。記事後半で紹介する「お金をかけずにできる工夫」も合わせてご覧ください。ここでは、それに加えて一戸建てならではの対策を紹介します。

窓・壁を中心とした対策

二重窓にする

窓を二重窓にすることで、ピアノの音漏れレベルが半分程度になるとされるデータもあります。防音効果に加えて、外部の騒音が聞こえにくくなる、防犯性が高まるといったメリットもあります。費用は20万円〜が目安で、防音カーテンやマットと組み合わせることで、さらに効果が高まります。

防音ドアを導入する

隣家だけでなく、家庭内での音の伝わりも気になる場合は、防音ドアの設置も検討しましょう。ドア越しに伝わる音を大きく軽減できます。価格帯は5万円程度から50万円程度まで幅があり、一般的に高価なものほど防音性能も高くなります。取り付け工事は即日対応できる場合が多く、日常生活への影響を抑えながら導入できます。

本格的な防音室を作る場合

家の間取りに余裕がある場合は、一部屋を防音室にすることも選択肢になります。費用は200万円程度からと高額ですが、時間帯を気にせず演奏できる環境が手に入るのは大きなメリットです。

音大受験生や音大生がいるご家庭、自宅でピアノ教室を開業したい方には、特に検討する価値がある対策です。一部屋を防音室にするのが難しい場合は、前述の簡易防音室を導入することでも、隣家に対して一定の防音効果が期待できます。

一戸建てのピアノ防音対策一覧

一戸建てのピアノ防音対策と費用の目安一覧

【防音室やDIYが難しい方向け】今すぐできるピアノの防音対策

ここまで紹介した防音グッズや防音室は、効果が高い一方で、賃貸で設置が難しい、予算が確保できないといった理由で、すぐには導入できないこともあります。

そんな方のために、お金をかけずに今すぐできる工夫をまとめました。マンション・一戸建てを問わず、今日から取り入れられるものばかりです。

壁から離す、蓋を閉めるなど今すぐできるピアノ防音対策

お金をかけずにできる工夫

ピアノを壁から離して設置する

アップライトピアノは壁にくっつけて置く方が多いですが、最低でも5〜10cm程度離すようにしましょう。音が壁を伝って隣室に漏れるのを軽減できるほか、通気性が良くなることで、ピアノ内部のカビや調律の狂いを防ぐ効果も期待できます

ピアノの蓋を閉めて弾く

ピアノは蓋を閉めて弾くと音量が下がり、それに伴い周囲への音漏れレベルも下がります。

グランドピアノの場合は、本来は蓋を開けて弾くように設計されているため、開けた方が音のバランスも良く、ピアノが持つ魅力を余すことなく楽しめます。しかし、音量も増すため、近所への音漏れを気にするのであれば、閉めて弾くのがおすすめです。

開けて弾きたい場合は、なるべく隣室や隣家に人がいない時間帯を選んだうえで、ここで紹介している他の防音対策も併用しましょう。

ピアノの周りにぬいぐるみを置く

子供部屋にピアノを置いている場合は、周りにぬいぐるみをいくつか置くことでも、ある程度の音漏れ軽減が期待できます。ぬいぐるみには吸音効果があり、まとまった数を置くことで簡易的な防音対策になります。

ただし、アップライトピアノの蓋の上に物を置きっぱなしにすると、内部の湿気がこもりやすくなります。置いた場合も、定期的に蓋を開けて換気することを心がけましょう。

防音テープを窓やドアのすき間に貼る

窓やドアのすき間をふさぐだけで、音漏れがある程度軽減されます。合成ゴムやウレタンなどの素材があり、貼りたい場所の長さに合わせてカットして使えるのが便利です。100円ショップでも購入できるものがあり、厚手のゴム製のものほど防音効果は高くなる傾向があります。

これらの対策は単体では効果が限定的なものもありますが、床対策・壁対策とあわせて取り入れることで、防音効果はより高まります。まずはここで紹介したお金をかけずにできることから試し、必要に応じて「【予算別】マンションのピアノ防音対策」で紹介したグッズも検討してみてください。

もし近隣から苦情が来てしまったら

防音対策をしていても、すでに近隣から指摘を受けてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。その場合に大切なのは、慌てずに段階を踏んで対応することです。

まず確認すべきこと

  • どの時間帯の演奏が問題になっているのか
  • 苦情の内容は音量そのものか、時間帯への配慮の問題か
  • マンションの場合、管理規約に演奏時間の取り決めがあるか

管理会社・近隣への伝え方

マンションの場合は、まず管理会社や管理組合に相談し、対応の窓口になってもらうのが基本です。直接のやり取りで関係がこじれてしまうケースもあるため、可能であれば管理会社を介する方法をおすすめします。

一戸建ての場合は、直接のご近所付き合いになることが多いため、防音対策を行っている旨や、演奏時間に配慮する意思があることを伝えるだけでも、印象が大きく変わることがあります。

対策と並行してできる配慮

  • 演奏時間を朝早い時間や深夜帯を避けて設定する。
  • 当面の応急処置として、防音マットやカーテンなど即効性のある対策から始める。
  • 改善に向けて取り組んでいる姿勢を、可能な範囲で伝える。

防音対策は一度で完璧になるものではなく、組み合わせながら徐々に効果を高めていくものです。焦らず、できることから順に対応していきましょう。

まとめ|ピアノを長く楽しむための防音対策

ピアノが好きな方や、お子さんがピアノを習っているご家庭では、ピアノの音が近隣にとって気になる音量になり得ることを、つい忘れてしまいがちです。しかし、ピアノの音は日常生活の中の生活音と比べても大きく、対策をしないままにしておくと、近隣トラブルに発展してしまう可能性があります。

今回紹介したように、防音対策には数千円でできる手軽なものから、本格的な防音室まで幅があります。まずは「空気音」「固体音」それぞれに効く対策を組み合わせ、できることから始めてみてください。

長くピアノのある生活を楽しむためにも、周囲への配慮は欠かせないポイントです。ご自宅の状況に合った対策を、無理のない範囲で取り入れていただければと思います。

なお、防音対策を行っても住環境の変化などでピアノを手放すことを検討される方もいらっしゃいます。その際は、状態に応じた適正価格でのご相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

ぜひ、今回ご紹介したピアノの防音対策を実践しつつ、ピアノのある生活を楽しんでくださいね!

この記事を書いた人

ピアノワン買取責任者

代表取締役社長

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